秒速5センチメートル
桜の速度で過ぎ去る青春
新海誠監督が描く『秒速5センチメートル』は、距離と時間に阻まれた幼なじみの恋を、繊細な筆致で綴った珠玉のアニメーション。桜の花びらが舞うように儚いふたりの関係は、観る者の胸を締めつける。
遠ざかるふたり、交錯する想い
転校と引越しで離れ離れになった貴樹と明理。雪に覆われた駅で交わしたキスと約束は、やがて現実の壁に消えていく。手紙やメールでは埋められない距離が、ふたりを静かに引き裂いていく。
孤独と諦めの風景
時は流れ、大人になった貴樹は都会で空虚な日々を送る。一方、明理の消息はわからない。夢に現れる13歳の記憶は、あまりにも鮮やかで──果たして、あの日の約束はどこへ消えたのか?
秒速5センチの真実
「もしも桜の落ちる速さが秒速5センチなら、心はどれほどの速さで離れていくのか」。ラストシーンで貴樹が気づくのは、失われたものの大きさではなく、変わらぬ想いの重さだった。